清潔感
髪、爪、靴、服の皺。相手が意識する前に、意識されない状態にしておく。
接客では鏡を見るのは自分のためではなく、相手の注意を奪わないため。
欠けると内容を聞く前に、話を聞く気が減る。取り返しがつかない。
信用は資本です。使っても減らず、次を楽にする。見た目・振る舞い・言葉の三つと、相手の中で起きる効果に分けて並べた目録。
| 層 | 内容 | どちら側か |
|---|---|---|
| A アピアランス | 見た目。相手が話を聞く前に判断するもの | こちらが出す |
| B ビヘイビア | 振る舞い。動作、時間、間 | こちらが出す |
| C コミュニケーション | 言葉。言葉遣い、聞き方、伝え方 | こちらが出す |
| 効果 | 信用に働く心理 | 相手の中で起きる |
A・B・C に境界はほぼありません。どれだけやっても搾取にならない。信用は、派手さでは積めません。小さなことを、毎回、同じようにやることで積まれます。
髪、爪、靴、服の皺。相手が意識する前に、意識されない状態にしておく。
接客では鏡を見るのは自分のためではなく、相手の注意を奪わないため。
欠けると内容を聞く前に、話を聞く気が減る。取り返しがつかない。
制服でも私服でも、皺がなく、ボタンが留まり、サイズが合っている。
接客では着ているものより、着方。 高いものを着る必要はないが、崩れた着方は一瞬で読まれる。
欠けると「この人は自分を管理できていない」と読まれ、提案の管理も疑われる。
髪は顔にかからず、爪は短く清潔に。
接客では資料を指す手、端末を渡す手。手は最も見られる場所。
欠けると手元に視線が行くたびに、話が途切れる。
磨かれていて、かかとが減っていない。
接客では立ち上がって案内するとき、席に着くとき、必ず見られる。
欠けると全身を整えていても、靴が崩れていると全体が崩れて見える。
名札は読める位置に。ペン、資料、端末は揃っていて、探さない。
接客では探す動作は、準備不足の証拠。 必要なものは手の届く場所に。
欠けると探している間、相手は待つ。待った時間は信用から引かれる。
口角が下がっていない。目が開いている。力が抜けている。
接客では笑顔をつくるのではなく、力を抜く。 緊張した顔は、相手を緊張させる。
欠けると真剣なつもりの顔が、不機嫌に見えることがある。
背が伸びていて、相手に正面を向けている。
接客ではカウンター越しでも、身体ごと相手に向ける。斜めに構えない。
欠けると「面倒がられている」と読まれる。言葉より先に姿勢が伝わる。 ---
先に、目を見て、名乗る。相手が気づく前に、こちらが気づいている状態をつくる。
接客では入店の音で顔を上げる。「いらっしゃいませ」の前に目が合っていること。
欠けると最初の三秒で「対応される側」になる。以後の信用がすべて遅れる。
話すときは見る。聞くときも見る。ただし、見続けない。
接客では三秒見て、一秒外す。資料を指すとき、視線を一緒に落とす。
欠けると見なさすぎると「聞いていない」、見すぎると「圧」になる。
約束の時間を守る。待たせるときは、先に一言。
接客では「五分ほどお待ちいただきます」を、待たせる前に言う。
欠けると一度の遅れが、それまでの積み重ねを消す。時間は信用の単位。
座っていただく。荷物の置き場を示す。上着を預かる。
接客では立ったまま話を始めない。身体が落ち着かないと、判断も落ち着かない。
欠けると急かされている感覚が残る。長い話ができない。
相手の話を書きとめる。書いていることが見えるように。
接客では書く手を止めて、顔を上げる瞬間をつくる。 書きっぱなしにしない。
欠けると「覚える気がない」と読まれる。逆に、書きすぎると事務的になる。
質問したら、黙る。答えを待つ。埋めない。
接客では三秒の沈黙に耐える。相手が考えている時間を、こちらが奪わない。
欠けると沈黙を埋めると、相手の答えが出る前に話が進む。
端末、書類、ペン。両手で、相手が受け取りやすい向きで。
接客では渡す前に、一度止める。 投げるように置かない。
欠けると物の扱いが雑だと、契約の扱いも雑に見える。
最後の一言と、姿勢。相手が振り返ったときに、まだこちらを見ている。
接客では次回の入口は、今回の出口。 座ったまま送らない。
欠けると最後の印象が残る。ここが雑だと、全体が雑だったことになる。
相手の話す速さ、声の大きさ、呼吸に合わせる。
接客では速い人には速く、ゆっくりの人にはゆっくり。最初の一分は、合わせるだけ。
境界合わせたあとに、自分の速さに引き込むのは誘導(→ 誘導ライブラリ「合わせて、導く」)。合わせる段階では、導かない。
相手の姿勢や仕草を、さりげなく写す。
接客では相手が前かがみなら、こちらも少し前へ。腕を組んでいたら、組まない。
境界意図が見えると不気味になる。呼吸を合わせる程度に留める。
相手の表情、視線、間から、いまの状態を読む。
接客では顔は答えではなく、次に確かめる場所を示すセンサー。 読んだら、言葉で確かめる。
境界読んだことを断定すると外れる。「〜と感じられましたか」と確認する。
上のすべてを、相手によって変えない。
接客では買いそうな人にだけ丁寧にしない。 買わなかった人が、次に買う人を連れてくる。
欠けると差をつけた瞬間に、所作は技法に見える。 ---
大きさは相手に合わせ、速さは相手より少しゆっくり。
接客では最初の一言だけ、はっきり大きく。 あとは相手の音量に寄せる。
欠けると小さいと頼りなく、大きいと押しつけがましい。
自分の名前を、最初に、聞き取れる速さで。
接客では名札があっても口で言う。名前を知っている相手には、責任を感じる。
欠けると「店の人」のままで終わる。次回に繋がらない。
尊敬語(相手を上げる)、謙譲語(自分を下げる)、丁寧語(です・ます)。混ぜない。
接客では相手の動作は尊敬語(ご覧になる)、自分の動作は謙譲語(拝見する)。主語で決まる。
欠けると自分に尊敬語を使うと(「私がご覧になります」)、一瞬で信用が落ちる。
敬語を重ねない。「おっしゃられる」→「おっしゃる」。「拝見させていただく」→「拝見する」。
接客では丁寧にしようとして重ねると、かえって崩れる。 一つで足りる。
欠けると過剰な敬語は、慣れていない印象を与える。
「〜になります」「〜のほう」「よろしかったでしょうか」「〜円からお預かり」。
接客では「こちらがお釣りです」「お席へどうぞ」「よろしいでしょうか」「〜円お預かりします」
欠けると一つ一つは小さいが、業界の人には即座に分かる。 クライアントが最初に見る部分。
命令ではなく、依頼で。「〜してください」→「〜していただけますか」。
接客では「こちらにご記入ください」より「こちらにご記入いただけますか」。相手に選ぶ余地を残す語尾。
欠けると指示された感覚が残る。
「できません」で終えない。「〜ならできます」に変える。
接客では「本日はお渡しできません」→「明日以降であればお渡しできます」
欠けると否定で終わると、それ以上の話が続かない。
名前が分かれば「〜様」。分からなければ「お客様」。友達言葉は使わない。
接客では名前を聞いたら、以後は「〜様」。呼び方が変わった瞬間に、関係が変わる。
欠けると「そちら」「あなた」は距離が出る。
お客様に対しては「承知しました」「かしこまりました」「ありがとうございます」。
接客では「了解しました」は同僚向け。「ご苦労様」は目下向け。お客様には使わない。
欠けると意図がなくても、上から見ていると受け取られる。
金額、日付、数量は、ゆっくり、区切って、繰り返す。
接客では「にまん、さんぜん、えん」。数字を間違えると、すべてが疑われる。
欠けると聞き間違いは、後日の「聞いていない」になる。
敬語は正確に。ただし、丁寧すぎて距離が出ないように。
接客では「〜させていただきます」の連続は避ける。「〜します」「〜いたします」で足りる。
欠けると崩れると軽く見え、固すぎると壁になる。中間の精度が信用。
言葉と、うなずきと、間。三つを混ぜる。
接客では「はい」だけでなく「それは」「なるほど」「〜なんですね」を使い分ける。
欠けると同じ相槌の連続は、聞いていない証拠になる。
相手の言葉を、そのまま、あるいは整理して返す。
接客では「つまり、〜で困っていて、〜は変えたくない、ということですね」
境界言っていないことを足すと誘導になる。言われたことだけをまとめる。
「恐れ入りますが」「差し支えなければ」。本題の前に置く一言。
接客では立ち入った質問の前に添える。金額、家族構成、使い方。
欠けると唐突に聞くと、答えが浅くなる。ただし多用すると本題が薄れる。
相手が使った言い方を、こちらも使う。言い換えない。
接客では相手が「動画が止まる」と言ったら、「通信速度」に言い換えない。「止まる」で話す。
欠けると専門語に言い換えた瞬間、「分かっていない」と思われる。
相手が感じているであろうことを、こちらが先に言葉にする。
接客では「それは、面倒でしたね」「不安になりますよね」
境界感じていない感情を押しつけると、ずれる。表情や言葉から読めるものだけ。
最初は広く聞く。「どんな使い方をされていますか」。絞るのは後。
接客では最初の三問は、はい・いいえで答えられない形にする。
境界開いた問いを重ねすぎると、相手が疲れる。三問で絞りに入る。
事実は断定し、判断は留保する。
接客では「料金はこれです。合うかどうかは、〜様次第です」
欠けると事実まで曖昧にすると頼りなく、判断まで断定すると押しつけになる。
出身、趣味、使っている機種。本当の共通点を一つ見つける。
接客では探すのは会話の中。履歴や書類から先に探さない。
境界作り話の共通点は、露見したとき信用がすべて消える。本当のことだけ。
こちらが少し打ち明けると、相手も打ち明けやすくなる。
接客では「私も同じ機種で、ここで迷いました」
境界打ち明ける量が相手より多いと、主役が入れ替わる。相手より少なく。
「私たち」という言い方で、売る側と買う側ではなく、同じ問題を見ている関係になる。
接客では「では、この条件で一番良い形を一緒に探しましょう」
境界同じ側のふりをして、自社に有利な結論へ寄せると搾取。本当に一緒に探すこと。
話の最初に、扱えない範囲を伝える。
接客では「ここは他社より劣ります」を、聞かれる前に言う。その一言で、残りの説明が通る。
境界小さな欠点だけ示して大きな欠点を隠すのは、片面提示と同じ。判断に関わる欠点は全部。
何に対して謝るかを、具体的に言う。理由を先に言わない。
接客では「お待たせしました」ではなく「十分お待たせしました」。数字を入れる。
欠けると曖昧な謝罪は、謝っていないのと同じに受け取られる。
できないことを、できないと言う。代わりに何ができるかを添える。
接客では「それはできません。代わりに、〜ならできます」
欠けると曖昧に濁すと、後で「聞いていない」になる。断れる人が信用される。
声だけ、文字だけのときは、所作が見えない分、言葉で補う。
接客では電話は名乗りと復唱を対面より多く。文字は結論を先に、短く。
欠けると対面より誤解が起きやすい。「伝えたつもり」が残る。 ---
接する回数が増えるほど、好意が増す。内容の質とは無関係に起きる。
接客では来店のたびに顔を覚え、名前を呼ぶ。次回、温める手間が減る。
境界接触を増やすために用のない連絡を重ねると、逆に警戒される。用があるときだけ。
一つの目立つ長所が、全体の評価を引き上げる。
接客ではA の七項目が、ここに効く。最初の三秒で信用の初期値が決まる。
境界外見で中身の不足を覆うと、後で落差が出る。中身が追いついていること。
専門家・公的な立場の言葉は、検証されずに受け入れられやすい。
接客では資格、経験年数、実績を聞かれたときに答えられる状態にしておく。
境界権威を先に振りかざすと、判断を奪う。根拠を示せる権威だけ。
多くの人が選んでいるものは正しいと感じる。
接客では「同じ条件の方はこちらを選ばれることが多いです」と事実を伝える。
境界数字を作ると詐称になる。本当に多いときだけ、本当の数字で。
何かを受け取ると、返さなければと感じる。
接客では先に役に立つ情報を渡す。買わなくても持ち帰れるものを渡す。
境界返させるために渡すと、相手は気づく。返ってこなくても渡せるものだけ。
一度表明した立場を、人は保とうとする。
接客ではお客様自身が言った条件を、そのまま使って提案する。
境界言わせた言葉で縛ると、後で不快が残る。本人が本当にそう思っている言葉だけ。
最初に受けた印象と、最後に受けた印象が残る。中間は薄れる。
接客では入口と出口を丁寧に。見送りが次回の初期値になる。
境界中間を手抜きする理由にはならない。
本人が言うより、第三者が言ったことのほうが信用される。
接客では「使っている方からは、〜と言われることが多いです」
境界存在しない第三者を作ると詐称。実際に言われたことだけ。
約束は小さく、実行は大きく。
接客では「三日でできます」より「一週間いただきます」で、三日で終える。
境界わざと低く言って驚かせるのを繰り返すと、見抜かれる。実際の見込みより、少し慎重に。
「後で連絡します」を、必ずする。小さいほど効く。
接客では約束は、その場でメモに書き、期限を言う。 守れないなら、その前に連絡する。
境界なし。これが信用の最小単位。 ---
A・B・C は、毎回同じようにやる。相手で変えない。効果は、知っておく。使いにいかない。
信用は、その場で作るものではなく、前回までに積んであるもの。今日の接客は、次回の信用を積む時間です。